青空の中建つマンションと木

「老後は子供の世話になりたくない」とは巷ではよく聞く話です。

以前は、親よりも子のほうが確実に豊かということもあり、子が親を経済的に支えてあげることは当たり前となっていましたが、低成長時代の今は違います。子は将来的に親にリターンをもたらす存在ではなくなり、 親が仕送りを求めようにも子の年収は低くてその余裕はなくなりました。その影響から「子供に迷惑をかけずに老後のお金は自分で確保しなくては」と考えている方も多いのではないでしょうか。

もし、親が「自分の老後は一切、子に面倒を見てもらうつもりはない」と宣言でき、それに伴う生活ができるようになれば、子も、親も、人生が楽になります。今回はそんな老後の生活についてどのように考えるべきかを紹介していきます。

長い老後をコンパクトに暮らすには?

「老後は悠々自適に過ごしたい」「現役時代にはできなかったことをしてみたい」、と思いはあるものの、なかなかそうもいかないのが現実です。今は老後のライフスタイルをコンパクトに、自立できるようにと考える人が増えているようです。かつては、老後は子供世帯と同居するものという価値観が主流でしたが、生涯未婚率の増加や、歳をとってもできるだけ自活したいという人の増加などから、コンパクトな暮らしを選ぶ人が増えています。

コンパクトな暮らしにはマンションが最適?

例えば30代で一戸建てを購入した場合でも定年を迎える頃には家も築20年を迎え、小規模なメンテナンスはもちろんのこと、場合によっては大掛かりなリフォームを施すことが必要になってきます。シニア世代になると、「子供が独立して部屋が余っている」、「広い家の手入れが大変になってきた」、「階段の昇り降りが難しく2階は使っていない」などの悩みも。そのため、郊外の一戸建てを引き払い、便利な都市部のマンションへの住み替えを考える人が増えてくるのです。


また、住み替えは一戸建て所持の人々だけではなく、ファミリータイプの広いマンションの人にも当てはまります。子供が独立した老後には床面積が多い必要はなく、床面積が少ないマンションへの住み替えを検討する人も。部屋数を減らしたマンションへ住み替えれば、光熱費やメンテナンスのコストを抑えられるなど、暮らしのスリム化を図ることができます。

「マンション」に住み替えることのメリットとデメリット

それでは「マンション」に住み替えることのメリットとデメリットについて、改めて見ていきましょう。

マンションに住み替えることのメリット

  1. 戸締まりが簡単で、セキュリティが安心
  2. 床面積やシステムなど老後の暮らしに合わせて取捨選択ができる
  3. 掃除やメンテナンスが簡単
  4. 必要であれば専有部・共有部ともにバリアフリー対応している物件を選ぶことができる
  5. コストを抑えることができる
  6. 都心を選べば病院やスーパーなど利便性の高い地域に住むことができる

参考: 老後の住み替えのポイントは? 老後にぴったりな住まいの見つけ方

マンションに住み替えることの最大のメリットは、自分にとって必要なポイントを取捨選択し、等身大の暮らしをできることでしょう。無駄を減らすことでコストを減らし、暮らしやすい環境を作っていくことも可能です。

マンションに住み替えることのデメリット

  1. 管理費・修繕積立金を毎月支払わなければならない
  2. 上階や隣の音が気になる場合がある
  3. 駐車場を借りるのにお金がかかる

参考:老後の住み替えのポイントは? 老後にぴったりな住まいの見つけ方

マンションに住み替えることのデメリットは、周囲への気遣いが必要であるということでしょう。一戸建てに慣れた人には少し気後れする部分かもしれません。また、管理費・修繕積立金などの支払いが毎月かかるので、こちらも考慮に入れる必要があります。

住み替えの時期やきっかけ

住み替えるきっかけとなるのはどんな状況が考えられるでしょうか。

子どもたちが独立して一戸建てが必要なくなった

子どもたちが独立して家を出ていくと、夫婦2人だけのライフスタイルに変わり、これまでの家では暮らしにくくなることもあります。住んでいる家の部屋を活用しきれず維持費がもったいない、掃除や管理も大変など、夢のマイホームが負担となることもあるようです。

今後の暮らしを考えた上で住み替えを検討する方が多いのでしょう。

定年退職して、選択肢が広がった・

定年退職すると、生活スタイルが大きく変化します。今の住まいを購入した際は、子どもの通学や自分の通勤などを考慮した条件で選択したでしょう。しかし定年退職すると通勤の必要がなくなり、住居の場所の選択肢も広がります。

また、仕事がなくなると、自宅で過ごす時間が大幅に増えることになります。老後の住み替え先は、より快適性が住まいに重視されるでしょう。

健康に不安を感じて、安心できる住まいに

厚労省が公開した「平成29年簡易生命表」によれば、日本人の「平均寿命」が過去最高を更新して、男性は「81.09歳」、女性は「87.26歳」となりました。今後も日本の高齢化社会は右肩上がり進むことが考えられます。いつまでも元気で暮らせることが一番ですが、病気や怪我で日常が不便になったときのことを不安に感じる高齢期の方が増えています。老後のことを考え、バリアフリー付きの家、かかりつけの病院に近い住まいに移るケースもあります。

一万円札の上にのっている家族のミニチュア

気になる資金計画は?

資金計画というと、大げさかもしれませんが、身の回りのお金の整理をする所から考えていきましょう。安全に正確に資金を整理する事で見通しも立てやすくなります。

安全な資金計画を

老後に向けてマンションに住み替える際に気になるのは、資金計画ですよね。もしローンを申込む場合は、年齢が上がるほど借入金の返済期間が短くなるため、30〜40代に比べると審査は厳しくなります。


特に、シニア世代がローンを組むときに見られるのは、定年退職後の支払い能力があるかどうか、退職金の金額や相続が予想される資産の見込みなど。どうしても現役時代に比べると借入れできる金額が少なくなるため、自己資金を多く用意しておく必要があります。また、老後は、医療費など思わぬ出費も予想されるので「借りられる金額」よりも、「返せる金額」であるかが大切です。

持ち家を手放すときはまずは相談から

マンションに住み替える時は、今の持ち家を手放す必要があります。自分の家は売れるのか?価値はどうなのだろうか?そう思うと不安に思いますよね。今の持家を売るのか、人に貸すのか、どちらが良いのかは状況によって大きく異なります。資金計画を立てる際には、不動産会社に査定の相談をすることがおすすめです。

微笑む老人女性と老人男性

老後の人生はとても長く、体も思うように動かなくなれば、自然と家の中で過ごす時間も多くなります。だからこそ老後の住む場所は、安全面や快適性、利便性など色んな視点から「自分にあった場所」を選ぶ必要があります。

「自分にあった場所」選びにおいて大切なのは、自分にとって必要なことを取捨選択すること、また取捨選択するときに長期的に人生を見据えること、すなわちライフプランを立てることです。お金の心配をすることのない老後を迎え、子供たちに迷惑をかけずに、自由に自立して暮らしていくために住まいについてじっくり考えましょう。

 

おすすめの記事