老後の住みやすさを考えるときにとても大切なのが、間取りです。この記事では、小さな家を過ごしやすい間取りにするポイントをご紹介します。ポイントを理解して、老後の自分自身と家族のために住みやすい家づくりを始めましょう。
小さな家だからこそ叶う老後を過ごしやすい間取り
小さな家と言うと、「狭くて住みにくいのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか。実は、老後の過ごしやすさに、家の広さはあまり関係ありません。15坪、20坪の住まいは夫婦2人で過ごすには十分な広さと言えます。
逆に、広い家で送るとなるとメンテナンスの負担は大きくなり、老後の生活においてストレスになります。その点、15坪、20坪ほどの小さな家は、メンテナンスの負担が軽減されるため、老後生活を送るのに適しているでしょう。
老後を過ごしやすい間取りに必要な5つの要素
実際に老後の暮らしを快適にする間取りを考えるには、5つの要素を理解しておくことが大切です。ここではその5つのポイントについて詳しく解説します。
(1) 動きやすい導線
導線とは、家の中での人の動きを表しています。玄関からリビング、そしてキッチンやお手洗いまで、人はさまざまな行動をとります。これらすべてを快適にこなすためには、導線が効率的で安全である必要があります。
老後の間取りに欠かせない、快適な導線を考えるなら、頻繁に使われる導線に障害となるものを置かずに広さを十分に取っておくことが大切です。頻繁に行き来する廊下や、通路と通路が交差するポイントには物を置かないようにするなど、家の中での動きを想像し、それぞれの導線がストレスなく移動できるようにできているかを考えましょう。
(2) バリアフリー
老後の間取りで最も重要なのが、バリアフリーであることです。60歳以上の高齢者の転倒事故についてみると、自宅内で「この1年間に転んだことがある」と回答した人は10.6%となっています。自宅でケガをしてしまうことを防ぐためにも、バリアフリーは非常に有効な対策です。
バリアフリーのメリットは、店頭を防ぐことだけではありません。将来的に車いすでの生活になる可能性を考えると、なおさらバリアフリーは大切な要素となります。
バリアフリーはリフォーム会社にすべて依頼することも可能ですが、場所によってはDIYで足りる場合もあるため、予算を考慮しながら優先順位を決めていくと良いでしょう。
(3) 家族が集まって団らんできるリビング
老後の間取りは、大人数での暮らしを想定して考えるものではありません。夫婦だけでの生活において必要な要素が揃っていることが重要です。ただ、友人や家族、そして親戚などが訪ねてくることもあるでしょう。その場合に備えて団らんできるリビングを用意しておくことも大切なポイントです。
来客と一緒に楽しい時間が過ごせるよう、座る場所を余分に確保しておく、もしくは来客があるときにすぐに席を増やせるテーブルなどを使用するのもおすすめです。ゆったりとした時間を来客と共に過ごすことができる空間があると、いざというときに慌てる必要がありません。
(4) 優れた断熱性
断熱性が高いとは「夏を涼しく、冬を暖かく過ごせる」ということです。家そのものの断熱性が高ければ、設定温度をそれほど高くせずとも冬の暖房が十分に効きます。夏の冷房も同様に、設定温度を下げ過ぎる必要がありません。
断熱性の高さは、結果的に電気代の節約ができるだけでなく、健康にも環境にも良いのです。
断熱性を高くする方法はさまざまですが、大きな変化を得るには窓ガラスに注目しましょう。窓ガラスを複層ガラスに変えるだけで断熱性は飛躍的に上がります。複層ガラスがあることで、夏は外からの熱が室内に入るのを防ぎ、冬は室内のぬくもりを外に逃さない効果が得られます。
(5) 十分な耐震性
耐震性のある家に住むことは、安心感に繋がります。当然ですが、築年数が経過している住居には、耐震強度が低いものも多く存在します。耐震補強には費用がかかりますが、万一の地震に備えておくことは大切です。
耐震補強は、予算に合わせておこなうことができます。大掛かりなリフォームに抵抗がある場合でも、部分的に補強することで家全体の耐震性をアップさせることが可能です。業者に見積もりを依頼し、予算と相談しながら検討していくと良いでしょう。
老後の間取りに「あると嬉しい」3つのものとは
ここからは、老後の間取りを考える際に「あると嬉しい」3つのものについてご紹介します。絶対的に必要な要素ではないものの、これらがあるとより老後の生活が充実したものになります。
(1) ひとりで過ごせる空間
老後を夫婦二人で生活すると想定すると、“二人が快適に過ごせる家づくり”を考えるのが自然です。しかし、ここで注目すべきは“ひとりになれる空間づくり”です。ひとりの時間はとてもリラックスできるもので、この時間を快適に過ごせるスペースがあると、生活はより豊かになるからです。
お互いに趣味の読書や手芸などを楽しめる個別スペースを作りましょう。二人が快適に過ごせる空間とひとりの時間を満喫できる空間の両方があると、日々の生活に変化が生まれ、楽しく快適な老後生活を送ることができるでしょう。
もし、完全に別空間を設けることが難しい場合には、植栽などをうまく活用してスペースを分けることもできます。このように、小さな家でも少しの工夫でプライベートな空間を作ることが可能です。
(2) 安全性の高いオール電化
料理をする際に火を使うことに慣れている方はあまり考えつかないところかもしれませんが、オール電化は老後生活に非常に便利です。
火を使うことにより、危険が伴う点は否めません。うっかり衣服にガスコンロの火が燃え移る、消し忘れによる火災の危険性など、考えれば常に危険が伴っていることに気付くでしょう。
オール電化にすることで高い安全性が得られるだけでなく、光熱費の節約に繋がる場合も多いため、検討してみる価値は大いにあると言えます。
(3) 広めのトイレ
老後の間取りを考えるにあたり、トイレも注目すべきポイントです。毎日頻繁に利用するスペースであるトイレの使いやすさを考えるのはもちろん、この先介護が必要になった場合も想定して置くことが大切です。
トイレそのものが狭かったり、トイレの入り口が狭かったりすると、介護をしてもらう場合にとても利用しづらくなってしまいます。広めの入口があり、使いやすい手すりがあること、そしてトイレ自体のスペースが広いことが理想的です。
リフォームを検討できる場合にはトイレ周りのリフォームを優先的に考えると、老後の暮らしの快適さが大きく変わることを覚えておきましょう。
まとめ
老後の生活を快適に送るために必要なのは大きな家ではありません。小さな家は、余計なメンテナンスに時間や労力を奪われることがないため、老後生活に適しています。
今回紹介した老後の間取りに必要な5つの要素は下記のとおりです。
・動きやすい導線づくり
・バリアフリー
・家族が集まって団らんできるリビング
・断熱性
・耐震性
これらの要素が揃っていることで、老後生活は安全で豊かなものになります。老後の間取りを考える際にはぜひ意識してみましょう。