江ノ島や鵠沼海岸など観光地として知名度の高い藤沢市ですが、実は子育て環境が充実したファミリーが住みやすい街だということをご存じでしょうか。
2014年には株式会社学研パブリッシングが発表した「主婦が幸せに暮らせる街ランキング」で1位を獲得するなど、近年改めて「住む場所としての藤沢市」に注目が集まっています。

藤沢市には、子どもの医療費控除、海や公園といった子どもが遊びまわれる場所、大型ショッピングセンターなど、ファミリーがのびのびと子育てを楽しめる環境がそろっています。今回は、藤沢市のなかでもファミリーにおすすめのエリアはどこなのか、藤沢市に住むとどのようなメリットとデメリットがあるのかなどをご紹介します。

藤沢市ってどんなところ?

藤沢市は縦に長い構造になっていて、南北で街の雰囲気が異なります。
南部は湘南のシンボルともいえる江ノ島があり、鵠沼海岸など湘南らしい景色が広がるシーサイドタウンです。中心部はショッピングセンターなどが充実した都市、北部は畑なども多い緑豊かな住宅街となっています。

藤沢市はこんなところ

南北で違いはあるものの、藤沢市の街にはどこも自然豊かな場所ならではの伸びやかな明るい雰囲気が漂っています。海や公園など子どもが遊べる場が多く、ファミリー層が多く居住している街です。藤沢市の主要駅である藤沢駅周辺は、電車が複数路線通っている都市の便利さと海辺の開放的なムードが同居してとてもにぎやかです。

藤沢市の治安は大丈夫?

神奈川県警察の「刑法犯 罪名別 市区町村別 認知件数」令和元年の1~10月の累月暫定値によると、藤沢市の刑法犯の総数は1,717件でした。鎌倉市の561件と比べると多いように感じるかもしれません。ただし、鎌倉市の人口が17万人超であるのに対して、藤沢市は43万人超の人口を抱えています。人口の割合を考慮すると、藤沢市の犯罪件数が突出して多いというわけではありません。駅の周辺や住宅街の治安はむしろよく、「安心して子どもを育てられる」という声が多く上がっています。

藤沢市のアクセス事情

主要駅である藤沢駅には、JR湘南新宿ライン、JR東海道本線、小田急電鉄、江ノ島電鉄が乗り入れていて、都心からのアクセスや利便性は高いといえます。北部の拠点ともいえる湘南台駅には小田急電鉄、相模鉄道、横浜市営地下鉄が乗り入れていて、これもまた高い利便性を誇ります。
藤沢市全体でいうと電車の利便性はあまりよくありませんが、代わりに神奈川中央バス(通称神奈中バス)の路線が多く通っているため市内のアクセスは良好です。

藤沢市に住むメリット

主婦が幸せに暮らせるという藤沢市ですが、実際に住んでみるとどのようなメリットがあるのでしょうか。子育て世代のファミリーにとってのメリットを中心に見ていきましょう。

海が近い

湘南の海をいつでも身近に感じることができるというのは、藤沢市に住む大きなメリットです。「サーフィンなどのマリンスポーツを楽しみたい」という理由で藤沢に移住してくる人も多く、週末になると自宅からウエットスーツを着たまま海に向かうサーファーの姿を頻繁に見かけます。
北部は海に面してはいないものの車などで気軽に向かえる距離のため、子どもを連れて海辺に遊びに行く家族も少なくないようです。

福祉サービスが充実

藤沢市は福祉サービスの充実に努めています。特に子育て世代にとって有難いのが、子どもの医療費控除です。所得に関係なく小学6年生までの子どもは通院・入院の医療費が控除、所得制限にかからなければ中学卒業まで医療費が控除されます。健診や予防接種など保険が適用されないものは助成対象外ですが、保険診療の自己負担分が無料になる期間が長いというのは嬉しいポイントです。
そのほか、65歳以上の介護保険認定区分で「要支援」または「要介護認定」を受けている人を対象にした無料の寝具乾燥消毒サービスなど、子ども以外への福祉サービスも多数あります。

公園やショッピング施設がたくさんある

藤沢市には大きな公園やショッピング施設がたくさんあります。藤沢市の公園課が管理している公園のほか、藤沢市まちづくり協会などの公益財団法人が管理している公園、神奈川県立の公園などもあります。それぞれ公園内に溜め池があったり、楽しみながら交通ルールが学べる交通公園があったりと個性豊かです。
「テラスモール湘南」「湘南T-SITE」「湘南モールフィル」などショッピング施設も充実しています。

子育て支援が充実!

藤沢市には子育て支援センターが4カ所、つどいの広場が4カ所、地域子どもの家が17カ所、児童館が5カ所、青少年会館が2カ所と子育て関連の施設が多数あります。支援センターから公民館などに子育てアドバイザーが来てくれる「巡回子育てひろば」も開催されています。

また、藤沢市では母子健康手帳を補完する「子育てアプリふじさわ」が無料で利用可能です。このアプリでは藤沢市から子育てイベントなどのお知らせが届き、成長曲線や健診・予防接種のスケジュール管理ができます。1歳6カ月児健診の受診後に、おすすめの絵本1冊とブックリストなどが入ったブック・スタートパックが配られる「ブックファースト事業」や、総合市民図書館に「子ども図書館」を設ける取り組みなど、子どもと本とをつなげる動きも盛んです。

藤沢市の各エリアをご紹介!

藤沢市のなかでもファミリーで住むのにおすすめなのが「藤沢」「辻堂」「湘南台」「鵠沼海岸」の4エリアです。それぞれのエリアの特徴、交通事情、ショッピングセンター、公園などについてご紹介します。

藤沢

藤沢市の南寄りの中心部にあるのが、藤沢エリアです。藤沢駅の周辺は北口・南口ともに栄えており、湘南の海への玄関口の役割も果たしています。北口には「さいか屋藤沢店」と「ビックカメラ藤沢店」があり、南口には「ODAKYU湘南GATE」と「湘南藤沢オーパ」があって、日常のショッピングには困りません。

藤沢の交通の便は?

藤沢駅は藤沢市の主要駅で、JR湘南新宿ライン、JR東海道本線、小田急電鉄、江ノ島電鉄が利用できます。都心へのアクセスはJR東海道本線で東京まで47分、品川まで38分、JR湘南新宿ライン快速で新宿まで50分、小田急線快速急行で58分です。平日の通勤時間帯には「湘南ライナー」が朝は上り列車のみ、夜は下り列車のみ運行しています。湘南ライナーに乗るためには定期券を含む乗車券にプラスして520円のライナー券が必要です。人気が高いのでライナー券が購入できないこともありますが、購入できれば必ず座って通勤ができます。

藤沢ではどんな暮らしができる?

藤沢駅から徒歩圏内には「森林公園」があり、周囲の山からの湧き水でできた溜め池・川名大池で憩うカワセミなどの鳥を眺めたり、散策路でリスに出くわしたりと、藤沢の中心部にほど近いとは思えないほど自然豊かなひと時が過ごせます。

藤沢の家賃相場は?

SUUMOの「JR東海道本線の家賃相場情報」によると、藤沢駅エリアの2LDK・3K・3DKのマンションの家賃相場は10万円弱です。家族で住める間取りで10万円を切っており、都内へのアクセスの良さのわりにお値打ち物件が多いといえます。

辻堂

大規模な駅前開発やスマートタウンの建設など、近年急速に魅力を増しているのが藤沢市の南西部にある辻堂エリアです。辻堂駅ではJR東海道本線、JR湘南新宿ライン、JR上野東京ラインが利用でき、東京、新宿に加えて上野や大宮方面へもアクセスできます。

辻堂ではどんな暮らしができる?

辻堂エリアは、辻堂海岸で海水浴やマリンスポーツが楽しめ、ショッピング施設も充実しています。なかでも辻堂駅と直結している「テラスモール湘南」は湘南エリア最大のショッピングセンターです。湘南の気候風土に根ざした環境づくりを目指し、太陽光発電や風力発電システムなど環境技術の導入に積極的に取り組んでいます。

辻堂駅から車で約10分、本鵠沼駅から徒歩約15分の辻堂元町エリアには、蔦屋書店を中心にカフェやショップが集まっています。湘南らしいライフスタイルを提案する文化複合施設「湘南T-SITE」があり、カルチャーの発信地となっています。
辻堂駅から車で約10分のところには大型ショッピングモール「湘南モールフィル」と総合ディスカウントストア「ミスターマックス湘南藤沢ショッピングセンター」もあります。

辻堂で子どもに人気な場所は?

このエリアで子どもに人気なのが、辻堂駅から徒歩約20分のところにある「神奈川県立辻堂海浜公園」です。広い敷地内に芝生広場や交通ルールを学べる交通公園があり、夏にはジャンボプールもお目見えします。ジャンボプールは有料(大人850円、中学生520円、子ども210円)ですが、流れるプール、波の出るプール、ウォータースライダーなど大小6つのプールがあり、夏の間はいつも子どもたちの歓声が響いています。

辻堂の家賃相場は?

SUUMOの「JR東海道本線の家賃相場情報」によると、辻堂駅エリアの2LDK・3K・3DKのマンションの家賃相場は9万円弱です。家族で住める間取りで9万円を切っており、藤沢駅エリアよりもさらに安い相場となっています。

湘南台

湘南台は藤沢市の北部に位置しており、住民が「治安がいい」と口をそろえるファミリーにおすすめのエリアです。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)や日本大学があるので、学生の姿もよく見かけます。ただし、「厚木海軍飛行場(以下、厚木基地)」が近くにあるため、航空機の騒音がしばしば問題になるエリアです。

湘南台の交通の便は?

湘南台駅は小田急江ノ島線、相模鉄道いずみ野線、横浜市営地下鉄ブルーラインが乗り入れています。基本的に乗り換えは必要なものの東京まで53分、新宿まで49分と、都心へのアクセスは悪くありません。横浜方面へのアクセスが便利で、始発駅のため座って通勤・通学ができます。

湘南台にはなにがある?

駅の周辺にはスーパーマーケットが何軒もあるため、日常の買い物に困ることはありません。また、子どもたちの遊び場である「湘南台公園」と「湘南台文化センターこども館」も湘南台駅から徒歩5分という便利な立地にあります。
「湘南台文化センターこども館」は広大なドームスクリーンが特徴のプラネタリウム(宇宙劇場)、子どもの好奇心を刺激する各種展示、子ども向けのワークショップなどが楽しめる場所です。展示ホール・宇宙劇場ともに入場料(展示ホールは小中学生100円、高校生以上300円、宇宙劇場は小中学生200円、高校生以上500円)がかかりますが、藤沢市内に在住在学している小中学生は毎週土曜日(祝日、春・夏・冬休み期間を除く)は展示ホール入場料が無料になります。
駅から徒歩約10分のところには「子ども図書館」のある「総合市民図書館」があり、毎週「おひざのうえのおはなし会」「4さいからのおはなし会」が開催されています。

湘南台の家賃相場は?

SUUMOの「ブルーラインの家賃相場情報」によると、湘南台駅エリアの2LDK・3K・3DKのマンションの家賃相場は8万円台なかばです。これはブルーライン沿線のなかでは最安値グループに属しています。

鵠沼海岸

鵠沼海岸は、藤沢市の南部に位置するシーサイドタウンです。鵠沼海岸駅は小田急電鉄しか通っていませんが、電車に乗ってしまえば5分で藤沢駅に着くため都心へのアクセスはそこまで悪くありません。
このエリアの一番の魅力は海までの近さです。海岸線からは江ノ島や富士山が望めます。一方で、自転車の錆びや自然災害のリスクなど、海辺ならではの弊害もあるエリアです。

鵠沼海岸にはなにがある?

駅からビーチまでの道が鵠沼海岸商店街になっていて、約200店舗のお店が軒を連ねています。近隣に相鉄ローゼンなどのスーパーもあるので、買い物には困りません。
「片瀬西浜・鵠沼海水浴場」は海が遠浅で砂浜が広いため、季節を問わず子どもたちがのびのびと走り回っています。海水でビショビショになってしまってもすぐに自宅に帰れるのがこのエリアの良さですが、「県立湘南海岸公園(湘南なぎさパーク)」のサーフビレッジに行けば温水コインシャワー(1回4分間300円)を利用することも可能です。サーフビレッジでは、無料開放されている鵠沼海岸のビーチバレーコートで使用するボールを無料で貸し出ししてくれるので、ビーチバレーも楽しめます。

鵠沼海岸のおすすめスポット、県立湘南海岸公園

「県立湘南海岸公園(湘南なぎさパーク)」は、片瀬海岸から鵠沼海岸にかけて海岸に隣接して広がっており、サーフビレッジのほか、水の広場、ちびっこ広場、ヤシと芝生広場などがあります。津波避難タワーも日中は展望台として開放されています。
新江ノ島水族館も公園敷地内です。水族館は有料で、大人2,400円、高校生1,500円、小中学生1,000円、3歳以上の幼児600円と安くはありません。しかし、1年間有効の年間パスポートは入場料2回分の料金で購入できるお得な価格設定になっているため、年間パスポートで散歩ついでに毎週のように子どもを水族館に連れて行くという近隣ファミリーもいます。

鵠沼海岸の家賃相場は?

SUUMOの「小田急江ノ島線の家賃相場情報」によると、鵠沼海岸駅エリアの2LDK・3K・3DKのマンションの家賃相場は9万円強です。都心に乗り継ぎなしで行ける辻堂駅エリアよりも若干高い相場となっており、ファミリー層の需要の高さがうかがえます。

藤沢市に住むデメリット

子育て世代のファミリーに人気の藤沢市ですが、海の近くならでは、ファミリーに人気の街ならではのデメリットもありますのでご紹介します。

待機児童が多い

藤沢市は子育て環境の良さからファミリー世帯の転入超過が続いています。保育所等の利用申し込みも多く、希望しても認可保育所に入れない待機児童が多数いる状況です。藤沢市が発表した「待機児童の状況と今後の取組(2019年5月30日記者会見・案件2)」によると、平成31年4月1日時点の待機児童数は164人でした。藤沢市は認可保育所の新設などで平成30年度に290人の定員拡大を図ったものの、いまだ対応が追いついていません。
ただ、令和2年4月に向けて合計592人の定員拡大を見込んでいると発表していますので、今後状況はよくなっていくでしょう。

地域によって航空機騒音がある

湘南台エリアなどの藤沢市北部では航空機の騒音問題があります。藤沢市内ではないものの、市の北側付近に厚木基地があるためです。定められた区域内に居住地がある場合は、国が住宅防音工事に対する助成を行っています。

自然災害のリスクが高い

特に藤沢市南部の海と隣接したエリアは、津波や浸水のリスクがあります。藤沢市では津波ハザードマップや浸水想定図を作成し、ビル所有者と協定を締結して各地に津波避難ビルを指定しています。いざという時のために、自宅付近や行動範囲内にある津波避難ビルを確認しておくことが必要です。

まとめ

子育て世代のファミリーが続々と移住している藤沢市は、子どもの医療費控除など子どもを育てていきやすい環境が整えられています。エリアによって特徴が異なりますので、メリット・デメリットを考慮した上で、自分や自分の家族に合うエリアを探してみてください。
 

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