近年、海辺でのゆったりした暮らしに憧れて都会から茅ヶ崎への移住を希望する人が増えています。「湘南」といえば茅ヶ崎を思い浮かべる人も多い人気の街です。都心に通勤・通学をしながらリゾートライフが送れる絶妙なロケーションが大きな魅力ですが、実際の住み心地はどうなのでしょうか。今回は、茅ヶ崎に住んでいる人達のリアルな声をご紹介します。

茅ヶ崎ってどんな場所?

茅ヶ崎は藤沢と平塚の間に位置する「湘南の中心」ともいえる街です。小さな子供から年配者までサーフィンを楽しむ住民が多く、観光客も毎年多く訪れます。相模湾に面しており、駅の南側は海辺のオシャレなリゾート地といった趣です。北は寒川町と隣接したなだらかな丘陵地になっていて、海側と山側とで街の雰囲気は異なっています。

都会すぎず田舎すぎず、便利さとリゾート感のバランスがちょうど良いため、1人暮らしでもファミリーでも、リタイア後の年配者でも暮らしやすい街です。家賃相場はお隣の平塚駅エリアよりは少し高めですが、都心と比べるとリーズナブルといえるでしょう。茅ヶ崎は「サザンオールスターズ」を率いる桑田佳祐さんの出身地であることから、サザンの名を冠したスポットやゆかりの場所などが多いことでも知られています。

海に近く豊かな自然に囲まれた街

東京・新宿・横浜などに乗り換えなしで行けるロケーションでありながら、茅ヶ崎は海辺の街ならではのゆったりとした時間が流れる街です。海の近くには屋外シャワーやサーフボード置き場が設けられた家やマンションも多く、年齢に関係なくたくさんの人達がサーフィンをはじめとするマリンスポーツを楽しんでいます。人の少ない早朝の海で波に乗ってから会社や学校に行けるというのは、海の近くならではの特権です。海沿いをランニングする人や自転車で通勤・通学をするという人もいるため、茅ヶ崎の海辺は朝から賑わっています。

多くの観光客が訪れるリゾート地

茅ヶ崎には毎年多くの観光客が訪れます。海水浴シーズンはもちろん、サザンオールスターズの聖地巡りと称してゆかりのスポットを巡ったり、海側のオシャレなカフェやお店に立ち寄ったり、富士山が見える絶景ポイントを探したり、バーベキューやキャンプをしたりと、1年を通して楽しむことができます。

海側と山側とでは異なる顔を持つ

海辺の街という印象の強い茅ヶ崎ですが、茅ヶ崎駅より北側は「海に近い」という雰囲気があまりありません。南側と北側はそれぞれ「海側」「山側」と呼ばれていて、街の雰囲気も異なります。海辺のリゾートタウンである海側に対して、山側は商業施設や家電量販店などがあり便利な地方都市といった趣です。

家賃は都心のほぼ半額

家賃はマンションなのか一軒家なのか、海側なのか山側なのかによって変わります。間取りや設備によっても変わりますので一概にはいえませんが、SUUMOの「JR東海道本線の家賃相場情報」によると、茅ヶ崎駅エリアのマンションの家賃相場はワンルームタイプでおよそ5万円です。お隣の平塚駅エリアよりは少々お高めですが、同じ路線の東京駅エリアと比べるとほぼ半額となっておりリーズナブルといえるでしょう。

茅ヶ崎のこんな点が住みやすい!

都会からの移住希望者が増えているという茅ヶ崎ですが、普段の生活において茅ヶ崎に住む魅力や住みやすいポイントはどこにあるのでしょうか。実際に茅ヶ崎に暮らしている人達のリアルな声を集めてみました。

都会の喧噪から離れてのんびり暮らせる

茅ヶ崎ならば、都会の喧噪から離れて海を眺めながらのんびりと暮らせます。駅から海まで徒歩で20分ほどかかるという立地柄、観光客で賑わうとはいえ1日中喧噪に悩まされるといったことはほとんどありません。
一部の丘陵地帯をのぞいて道のアップダウンが少ないため、年配者や足腰に自信がない人も散策やウォーキングを楽しむことができます。

「よく庭のデッキチェアに座って夫と晩酌をしています。波の音が聞こえてきて癒されます」(40代女性)、「オンとオフの切り替えがしやすい。昼間は東京で働いているが、茅ヶ崎に帰ってくるとホッとして自然にオフモードになれます」(30代男性)といった意見がありました。

駅周辺の買物スポットが充実

JR茅ヶ崎駅に直結している駅ビルの「ラスカ茅ヶ崎」をはじめ、映画館も入っている「イオンスタイル湘南茅ヶ崎」や家電量販店など、駅の北側周辺は実用的な商業施設が充実しています。一方で海側である南側には洒落たお店やおいしいレストラン・カフェがいくつもあるので、実用性とリゾート感のどちらも楽しむことができます。

「駅から海までの道すがら、おいしいパン屋さんがたくさんあるのでつい立ち寄っちゃいます」(40代女性)、「わざわざ他の街に行かなくても、映画館や家電量販店があるのは助かります」(30代男性)と、北側南側どちらのお店も利用しているという意見が多くありました。

海が近くイベントがたくさんある

サーファーや子育て世代にとっては、海の近さやイベントの多さに住みやすさを感じるようです。

「コンビニに行くくらいの気軽さで海に行けるのがイイ」(20代男性)、「子育てイベントが多いのが有難いです。自転車で子供と海にもよく行きます。子供にとって良い環境を与えてあげられていると思います」(30代女性)、「海辺で開催されるライブの歌声がよく聞こえてくる。好きなアーティストだと、生歌だーってちょっとお得な気分になることも」(40代女性)など、海やイベントを満喫しているという意見があがっています。

治安がいい

茅ヶ崎の住みやすい点として多くの人が挙げたのが治安の良さです。神奈川県警察が発表した「刑法犯 罪名別 市区町村別 認知件数」の令和元年1から10月までの累月暫定値によると、茅ヶ崎市の刑法犯総数は853件でした。お隣である藤沢市は1,717件、平塚市は1,157件となっています。
人口が異なるので一概に比較はできないものの、隣接する市の中では茅ヶ崎の治安は良いほうであるようです。さらに、茅ヶ崎市は853件のうち655件は窃盗犯、凶悪犯は3件でした。

「自転車が盗まれたって話はよく聞くけど、私自身は夜遅くに家を出歩いても怖いめにあったことはないです」(30代女性)という意見が示すように、命を脅かされるような事件は茅ヶ崎ではあまり起きていないようです。加えて、「茅ヶ崎愛の強い住民が多く、地域でのつながりも強いので、治安的に安心感がある」(40代女性)という意見もありました。

茅ヶ崎のこんな点が住みにくい!

自然に囲まれたのんびりとした雰囲気と、オシャレなビーチリゾートという両面を併せ持つ茅ヶ崎ですが、そうした街ならではの住みにくさも当然あります。こちらも、実際に茅ヶ崎に暮らしている人達のリアルな声を集めてみました。

都心に出にくい

JR東海道本線で東京まで56分、JR湘南新宿ラインで新宿まで59分と、乗り換えなしで都心まで行けるため、アクセスは決して不便ではありません。ただし、通勤・通学時間帯の都心方面への電車はかなり混雑しており、毎日通うとなると負担を感じる人が多いようです。

「慣れたらどうってことないですよ。それに、毎日同じ電車に乗っていると誰がどの駅で降りるというのがわかってくるので、立つ場所を選べば数駅で大体座れます」(30代男性)という強者もいますが、「特に横浜から品川の区間の混雑がすごくて、駅に着くたびに乗り切れない人達の背中を駅員さんが押して無理やり電車に乗せるんです。半年通ってみて限界を感じたので、時差出勤を会社に申請しました」(20代女性)という意見もありました。

潮風で洗濯物の干し方や錆に悩まされる

駅の南側のエリア、特に海沿いに住んでいる人からは潮風に関するお悩みの声があがっています。「湿気と潮風で洗濯物がベタベタになりやすくて……。晴れていても南風が吹いている日や夜間は、洗濯物を外に干さずに室内干ししています」(30代女性)など、洗濯物を干すときには風向きをチェックするという人が多いようです。

潮風による錆も油断できません。「車はぶつけて塗装がはがれていたりしなければ、そんなに錆びたりはしませんよ。でも、自転車は屋外に停めておくとすぐ錆びますね。ビーチクルーザーを愛用しているんですが、ハンドルが幅広なので屋内に置くと邪魔で。仕方がないので、屋外に置いてマメに手入れするようにしています」(30代男性)という意見もありました。海沿いに住むのであれば、屋内ガレージがついているかどうかも住居選びの際のチェックポイントのひとつといえるでしょう。

道がせまい上に渋滞する

市が「人と環境にやさしい自転車のまち茅ヶ崎」を目指すと宣言するほど、茅ヶ崎では自転車に乗っている人を多く見かけます。自転車で気軽に出掛けられる距離に海などがあることも理由ではありますが、車で移動しにくいというのも一因です。

「とにかく道がせまい!絶対に一方通行でしょ、すれ違えないでしょといいたくなる道が多いので、車は手放しちゃいました」(30代女性)というように、茅ヶ崎エリアは細い道が少なくありません。それに加えて、海岸線である国道134号線では、観光客やマリンスポーツを楽しむ人達が増える土日祝日や海水浴シーズンには渋滞が頻発します。そのため、地元民には車ではなく自転車を愛用している人も多いのです。

茅ヶ崎のおすすめ観光と4大イベント

茅ヶ崎観光として外せないのは海や豊かな自然との触れ合いです。サーフィンなどのマリンスポーツをはじめ、サイクリングや海釣りなどが楽しめます。洒落たカフェやお店に立ち寄りながらの海沿い散策もおすすめです。
茅ヶ崎観では4大イベントをはじめ、1年を通して様々なイベントが行われています。

富士山が望める絶景ビーチ

茅ヶ崎といえばやはり「サザンビーチちがさき」です。正面にえぼし岩と伊豆大島、東に江の島、西に富士山が望める絶景ビーチで、海水浴シーズンには連日多くの観光客で賑わいます。サザンオールスターズのCDジャケットにも登場したモニュメント「茅ヶ崎サザンC」も、このビーチのシンボルとして人気です。
Cの右側に人が立つとCの切れ目がふさがれて円になることから、「円=縁」として縁結びスポットとされています。Cの中心にえぼし岩が顔を出すように写真を撮りましょう。

体験系の観光も充実

マリンスポーツはもちろん、レンタサイクルで柳島から藤沢の鵠沼までを結ぶ7.7kmのサイクリングロードを海を眺めながら走ったり、茅ヶ崎漁港から渡し船でえぼし岩に渡って磯釣りを楽しんだりと、茅ヶ崎は体験系の観光も充実しています。
ちょっと変わった体験としては、海に広げた大きな網を大勢で協力して引き上げる地曳き網体験がおすすめです。アジやシラスなど獲れる魚はそのときによって異なりますが、網を開く瞬間には子供達だけでなく大人からも歓声があがります。

海沿い散策

晴れた日には、海沿いをゆったり散策するだけでも十分楽しめます。ただし、茅ヶ崎駅から海までは徒歩で約20分かかりますので、観光時には時間に余裕を持って訪れましょう。
駅から海までの道のりにも、洒落たカフェやお店がいくつもあります。サザンビーチちがさき沿いを散策するのも良いですが、一中通りを海へ抜けたところにあるヘッドランドビーチもおすすめです。海に向かってのびるT字型の突堤ヘッドランドや遊歩道ボードウォークがあり、地元の人達からは「Tバー」の愛称で親しまれています。えぼし岩を近くから望むことができる絶景スポットです。

茅ヶ崎の4大イベント

茅ヶ崎では四季折々に大小様々なイベントが行われています。中でも4大イベントと呼ばれているのが、「大岡越前祭」「湘南祭」「浜降祭」「サザンビーチちがさき花火大会」です。
大岡越前祭は、江戸時代の名奉行である「大岡越前守忠相公の墓所」が茅ヶ崎の浄見寺にある縁で行われている春祭りで、墓前祭や越前行列などの催しで親しまれています。この大岡越前祭の一環としてはじまったのが「湘南祭」です。海と人との共生をテーマに、ビーチサッカー大会や茅ヶ崎アロハマーケットなどが開催されます。
湘南に夏の到来を告げるのは「浜降祭」です。海の日の夜明けとともに茅ヶ崎市と寒川町の各神社から多くの神輿が集まって茅ヶ崎西浜海岸の砂浜を乱舞します。「どっこい、どっこい」という掛け声が早朝の海に響き渡るさまは勇壮そのものです。そして、夏本番の8月には「サザンビーチちがさき花火大会」が開催され、「スターマイン」「水中孔雀」など約3000発の花火が夜空を美しく彩ります。

まとめ

ひと言で茅ヶ崎といっても、居住地を海側にするのか山側にするのかで住環境や生活が変わってきます。
海沿いに住む恩恵ばかりではなく、潮風や渋滞など海沿いリゾート地ならではの住みにくさがあることも見逃せません。とはいえ、厳しい意見を挙げた人達も「それでも茅ヶ崎に住んで良かった。できれば長く住み続けたい」という人がほとんどでした。茅ヶ崎に住むメリットもデメリットもよく加味した上で、ぜひ茅ヶ崎移住を検討してみてはいかがでしょうか。
 

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