人生において、結婚や子ども、孫の誕生など、ライフスタイルの変化は生活を見直すタイミングにもなります。若い頃は1人で狭い部屋で生活していた方も、家族が増えると住み替えを考えますよね。他にも、定年退職が近づいている方や子どもが独立を考えている場合に引越しを考えるケースがあります。
今回は、様々なライフスタイルや年齢による変化に合わせた老後の二人暮らしを望む場合、どのような間取りの家を選べば良いのかをご紹介します。
「終の住処」を考える

自分が亡くなるまでの最後の住まいのことを、「終の住処」と言います。若い頃には想像もつかないかもしれませんが、定年が近づき老後のことを考えるようになると少しずつ「終の住処」が視野に入ってくるはずです。
長く一人暮らしや実家暮らしを続けていた人も、結婚や子どもが生まれたタイミングでマイホームの購入を考える事があったのではないでしょうか。恐らく、当時は家族が快適に過ごせるような広さがあり、通勤通学を考えた土地に重点を置いて住宅を探したかと思いますが、年齢を重ね老後を考えるようになると今の家では少し不便に感じるかもしれません。定年退職をして仕事をしなくなったり、前ほど身体が言うことを聞かなかったりと住宅に求める条件は変わってきます。
そんな時に、「マイホームを手放そうかな…」と思い立っても、長年同じ家で生活していると次にどのような間取りを選べば良いのかわかりませんよね。
ここからは、老後の二人暮らしにおいて押さえたいポイントをご紹介していきます。
家族の変化から考える
前述した通り、ライフステージの変化により生活も変化してきます。老後の二人暮らしともなると、家族が増えた際に購入したマイホームの間取りでは、広すぎたり部屋が余ったりしてしまうかもしれません。
無駄にスペースが余っていると移動が老後の身体にこたえますし、使用していない部屋が物置と化してしまうと後片付けにも労力を使うことになります。
また、物置に使用している部屋も放置しておくだけでなく掃除や換気の必要が出てきます。
また、2階建てや3階建てなど、階段を利用しての移動を強いられている家は足腰の負担にもなりますし、”何がどこにあるのか”という把握もしづらくなっていきます。
他にも、定年退職により職場への利便性を考える必要がなくなった場合は、郊外の一戸建てから都市部に住み替えるケースも多々あります。老後は生活における利便性が重要なので、ある程度狭い間取りでも都市部に住む方が動きやすい!と考える方が多いようですね。
自分の身体と相談しよう
若い頃と違い、加齢と共に身体は言うことを聞かなくなってきます。思うように動かないと運動をするのも億劫になり、さらに筋力も落ちてきます。
バランス感覚や体を支える力にも少しずつ変化が起きるので、家の中での些細な動きでも怪我に繋がる事があります。若い頃には問題なく行えていた階段の上り下りや家事なども、年齢とともに不便に感じやすくなります。
少し残念かもしれませんが、良かれと思って購入した広いマイホームも老後の二人暮らしには広すぎたり、怪我の原因に繋がったりすることもあるのです。
また、大きな一戸建てを買うために郊外での暮らしを選んだ場合も交通の不便さに悩まされるケースがあります。高齢者にとって、自転車や自動車は事故に繋がりがちです。できれば徒歩でも疲れない距離にスーパーなどの施設を揃えたいですよね。
年齢を重ね、自分やパートナーの身体と相談すると自ずと住みよい間取りが見えてくるかもしれません。
快適な動線かどうかを再確認
若い頃に購入したマイホームは、おしゃれな外装や間取りにこだわった当時の理想の住まいではあるかもしれませんが、老後のことを考えると如何にスムーズな動線が確保されているかが重要になってきます。
一戸建ての場合、2階をリビングとしている家庭もありますが、子どもの独立などで食卓を囲むのが二人になった場合に不便になりがちです。買い物した食材を2階まで運んだり、就寝や外出、入浴のたびに他の階に移動したりしなければならない住宅は、動線がスムーズとは言いづらいでしょう。
また、外装がおしゃれ過ぎて目立つ場合も、「お金を持っている家庭だ」と認識され盗難に合いやすくなる可能性があります。安心した毎日を送るためにも、若い頃との理想のギャップを埋めていかなければなりません。
老後の二人暮らしで住まいを選ぶ際の具体的なポイント

では、具体的にどのような間取りが老後の二人暮らしに最適なのでしょうか?
前述した通り、身体に負担のかかりにくい間取りや、動線がスムーズな間取りがポイントとなります。
おすすめの間取り
老後の足腰のために、なるべくバリアフリーを取り入れた間取りを選びましょう。段差や階段は極力避け、怪我や事故に繋がらないよう気を遣う事が大切です。止むを得ず階段を使用する場合は手すりや滑り止めが必須になります。
また、トイレや浴槽、玄関にも手すりがあると大変便利なので家を決めるタイミングで設置することをおすすめします。万が一杖をついて生活するようになったり、車椅子での生活になったりした場合を考えて、玄関や廊下は広く部屋と部屋の境目の段差も無くした方がよいでしょう。
さらに、リビングと和室が隣り合う間取りも、老後にはおすすめです。食後に和室でくつろぐ際もストレスなく移動できますし、負担のない動線が確保できます。
動線に関しては、玄関からリビングまでが直線の廊下で繋がっているととても便利です。前述したように、杖をついての移動や足腰をかばった歩きをする場合、複数の部屋を経由する動きは負担になります。廊下から全ての部屋に繋がる間取りが理想的ですね。
また、リビングの近くに洗面所や浴室があると、水回りでの怪我や事故にすぐ対応できます。もしリビングと浴室の階が離れていた場合、浴室での事故を他の階からではなかなか察知できません。スムーズな動線の確保はもちろん、互いにコミュニケーションの取りやすい間取りを選ぶことも大切です。
土地にもこだわりを
間取りからは少し逸れますが、家選びで重要なことのひとつに地域の選択も挙げられます。交通の便も良く、治安や制度においても安心できる場所に住みたいですよね。
最近は鎌倉・湘南エリアが高齢者にとっても人気のエリアとなってきました。東海道線や湘南新宿線、横須賀線など都内にも出やすい交通の便の良さや商業施設にも困らないので、なるべく身体に負担をかけたくない老後の生活にはピッタリです。
また、鎌倉エリアには医療施設や介護施設が整っている土地が多く、もしもの時にも安心して過ごす事ができます。海や観光のイメージが強いエリアですが、老後の負担を最小限に抑えた暮らしができそうですね。
二人にとって快適な「終の住処」を選ぼう
老後の二人暮らしでの間取りを決める際に押さえておきたいポイントがいくつかありましたが、間取りと共に住宅の場所選びも大きな課題となってきます。いくら利便性が高い場所でも、生活のしづらい間取りでは意味がないですよね。実際にその土地を訪れ、老後の生活をイメージしながら「終の住処」を決めてくださいね。