鎌倉 十二所『Hiro鎌倉』
オーナーの山下浩司さん
鎌倉・十二所。緑が色濃く、鳥のさえずりが山間に注ぐ。観光客を目にしない日常の鎌倉。
この夏、山下浩司さんは、この地に「Hiro鎌倉」をオープンした。客商売には不向きな場所だが、
積年の夢のためにあえて選んだのだ。山下さんは根っからの料理人だ。
しかも、一流の。
祖父も父親も和食の料理人だったが、渡仏して星付きのレストランで修行。
イタリアでも経験を積み、帰国後は本場の名店の銀座店のオープニングシェフを務めた。
その後、大手外食チェーンの総料理長を経て、東京・日本橋で13年にわたり繁盛店を営んだ。
順風満帆のキャリアのようだが、料理人として忘れられない記憶があった。
「一番心を打ったのがイタリアのキャンティ村でした。今、世界の料理のトレンドは、まず驚かせること。
だけど、キャンティではゆとりのある空間、豊かな時間の中で料理を楽しんでいた。
場所と自分の思いと食事、三つが重なった時、お客様の感動を生むのでは」。
そして、出合ったのが、キャンティの風景を彷彿とさせる、この地だった。
「ホームパーティを楽しんでいるような店になれば」。
食を通じて地元のコミュニティの場をつくることに、山下さんは挑み始めている。
テラス席から眺める鎌倉の山々がイタリアのトスカーナを彷彿とさせる
オマール海老とひよこ豆のタリオリーニ、セージ風味
柔らかな陽光が射し込むアットホームな雰囲気の店内
無農薬の鎌倉野菜
湘南逸品物語
-Masterpiece 01-
山下浩司さんの「アリスタ」
丹波産合鴨の石窯ロースト
「Hiro鎌倉」のオーナーシェフの山下浩司さんの「逸品」は「アリスタ」だ。
「豚肉のロースやカモをニンニクとローズマリーとともにじっくりとローストするイタリア・トスカーナの郷土料理です」と山下さん。
シンプルな料理だけに奥が深い。「ソテーしてオーブンへ入れてみたり、オーブンの中で最初から焼いてみたり」と、
30年間試行錯誤を重ねて、ようやく納得がいく調理方法にいきついた。「強火の遠火でゆっくりと回してローストすることで、ベストの状態になる」。
店の釜は完璧を求めて、自らの手で築いたというこだわりようだ。「アリスタ」の語源は「最高のもの」を意味するギリシャ語。
ぜひ最高の逸品を味わってみたい。


